なぜ私たちはショート動画をやめられないのか
電車の中で、ふと画面を見た。ショート動画を開いてから、もう40分が経っていた。 面白かったかと聞かれても、うまく答えられない。次々に流れてきた動画の内容は、ほとんど覚えていない。それなのに、指はまだ画面の上でスワイプを続けようとしている。疲れているはずなのに、なぜまた開いてしまうのだろう。 SNS疲れ、と一括りにする前に 「SNS疲れ」という言葉は、いろいろな原因を一つの箱にまとめてしまいがちだ。人間関係の比較、通知の多さ、返信のプレッシャー——原因は一つではない。 今回はその中でも、いま最も注目されている要因、ショート動画への依存に絞って考えてみたい。 情報は、もともと命に関わるものだった なぜ、大した内容でもない動画を見続けて、私たちは快感を覚えてしまうのか。 一つの見方として、こう考えられている。通信も文字もなかった時代、人は情報を得ることで命を守っていた。あの川は増水していて危険だ。あの方角には猛獣がいる。そうした情報を早く手に入れられるかどうかが、生死を分けた。だから人間の脳は、新しい情報を得ること自体に報酬を感じるよう、長い時間をかけてつくられてきた——と